「クルヒモ」Transcript(セリフ文字起こし)
<<1Page>>多軌: それで…どうだった? この間の贈り物は。
夏目: ああ!塔子さんたちすごく喜んでくれたよ
タキと田沼に相談にのって貰ったおかげだ ありがとう
やっぱり最後に決めたやつで正解だったな
多軌: 良かった
私が太鼓判を押してしまった手前 気になっていたの
<説明> 雑貨屋巡りリベンジ。
夏目: タキたちには長いこと吟味に付き合ってもらってしまって…
あとで田沼にも礼を言わなきゃ
多軌: 気にしないで すごく楽しかったから
いろんなお店をたくさん見て回れてわくわくしたわ
また誘ってね
夏目: もちろん!
<<2Page>>
夏目: …今まで
贈り物を渡すときはいつ どんな風に渡そうとか、いろいろと悩んでいたけど
いつでもいいものなんだよな 贈りたい、と思ったときで
多軌: …そうね
ということで 私からの贈り物《プレゼント》。
はいどうぞ
夏目: え!?
多軌: 夏目くんたちはいつもなにかと危ない目に遭っているから…
お守りを作ってみたの
ニャンコ先生: ふむ… 組紐《くみひも》か
夏目: これ、タキが作ったにしては 怖くないな!?
多軌: そうなの!
蔵の古書を読んでたら見つけて… これなら普段使いもできそうでしょう?
<<3Page>>
多軌: 身に付けているときに危ないものに近づくと警告してくれるらしいわ
…災《わざわ》いから少しでも遠ざかるための一助になれば、って
夏目: タキ…
ん? 2個あるぞ
多軌: そっちはニャンコ先生のぶんよ
ニャンコ先生: なにっ!?
私のような強く高貴な妖に そんなちんけな守りなど要らんわ!!
多軌: そうかもしれないけれど
でも いくら強いからって 傷つかないわけじゃないでしょう?
気休めかもしれなくても 持っていてほしいの
先生のことが大切だから
ニャンコ先生: ……
夏目: …たしかに
<<4Page>>
夏目: 付けといた方がいいぞ、先生
この先また変なのに喰われそうになるかもしれないし
多軌: え!? たべられそうになってたの!?
ニャンコ先生: うるさい! なっとらんわ!! 余計なこと言うな!!
<描き文字> ちょん。
多軌: 先生……かわいい♡
ニャンコ先生: なんでも似合ってしまうんだなこれが
夏目: よく考えたらこれ先生とお揃いになるのか…
なんかヤダなあ…
ニャンコ先生: なんだと? むしろ光栄に思わんか!
多軌: ふふ
夏目: タキ
ありがとう
夏目モノローグ:タキのポケットの中から取り出された組紐は
<<5Page>>
夏目モノローグ:心なしかほんのりと温かかった。
塔子: あら?貴志くん おしゃれな腕飾りね
夏目: …友人がつくってくれたんです 先生の分も
塔子: まあ! ステキね! よく似合ってるわふたりとも
ニャンコ先生: ぷはーっ 風呂あがりはこれに限るな!
おっと、いかん 夏目、ほれ
はやく付けんか アレを
夏目: ああ、タキの…
ふふ なんだかんだ先生もかなり気に入ってるじゃないか
ニャンコ先生: ……
<<6Page>>
夏目モノローグ:結ばれた紐は柔らかく
なんだかくすぐったくて心地いい
ああ 大切にしよう―――
<描き文字> ばらっ
ニャンコ先生: まさか 名を返して貰ったヨロコビのあまり暴れ出すやつがいるとは…
思ったよりも力のある妖だったせいで まじないの警告が誤作動してしまったようだな
<<7Page>>
夏目: タキに 謝らないと…
ニャンコ先生: 私にはなんの責任もないからな!!
お前はせいぜい詫びの品でも用意して謝っておけ!!
夏目: ……。 ああ、そうだな…
多軌: 何事かと驚いたわ
突然平謝りされながら 先生を差し出されたときは。
夏目: 本当にごめん!
こんなことで許してもらおうとは思ってないけど…!
<<8Page>>
多軌: …このお守り
こんなにすぐ駄目になってしまうなんて
夏目: ううう すまない
完全にこちらの不注意なんだ…
多軌: 強度的な問題? もっと呪術的な素材をさがして…
紐の組み方に余地があるかも
他の古文書に当たってみれば…
夏目: た、タキ? その…
…気にならないのか?
多軌: え? うん
だって夏目くんと先生の身には何もなかったんでしょう?
それならなにも問題ないじゃない
夏目: でも、せっかくタキがおれたちのために……
多軌: ありがとう
ふたりがそうやって大切に使ってくれてすごくうれしい
<<9Page>>
多軌: だから 次はもっと役に立つよう改良してみるわ!
夏目: つ……次?
多軌: ええ。
前よりもっと心を込めてつくるから 期待してねふたりとも
これから。
夏目モノローグ:大切なモノは
<<10Page>>
夏目モノローグ:あせることなく傍にある
夏目: ああ 楽しみだ
夏目モノローグ:いつだってあたらしい眩しさで
クルヒモ/終
<<11Page>>
おまけ後日談
夏目: あっマズイ
…よかった 無事だ
ニャンコ先生: こいつ……
お守りを守護《まも》るためもやしパンチにより磨きがかかって…
<<12Page>>
あとがき
原作最新話「見知らぬ我が家」ネタを描きたくなったので、熱いうちに描きました。
どんどん未来に進んでいく夏目くんですが、その先に待つのは、けしてひとりじゃない並行して成長し合えるような相手のいる明日なんだよなあ。という気持ちです。
いつも何気に苦労してるニャンコ先生を大切にしたくなったので作中で二番目に先生を愛する多軌さんに慈しんでもらいました。(一番は夏目くん)
多軌さんのニャンコ先生への好意はけして”マスコット愛的なものがメインではない”という見解です。多軌さんの衒いのない愛にほだされる先生も、いい。
新年早々、またしても限界原稿チャレンジで一週間で描きました。ぜえはあ。
間に合ってよかったです。もう絶対こんなことしない(いつもの)。
今年もなんやかんや描いていくつもりなので、よろしくお願いします。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
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「クルヒモ」
2025年1月12日発行
EFR 宙 http://efr.suppa.jp/
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