「酣(タケナワ)」Transcript(セリフ文字起こし)

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西村: …てことで頼んだ、夏目!

夏目:いや 突然頼まれても
何を?

田沼:今度の休みの日に隣山にある神社で夏祭りがあるんだ

北本:みんなで行こうぜって話

夏目:へえ!いいね

北本:で…西村は女子ともご一緒したいんだと

西村:だってさ!かわいい女の子と夏祭りデート!
憧れるだろ!?

田沼:みんなで行くならデートではなくないか?

西村:細かいこと言うなよ
浴衣着て女の子と一緒に歩くだけでじゅうぶん楽しいだろーが
あわよくばいい雰囲気で……手なんか繋いじゃったり!?

夏目:たのしそうだな 西村が

西村:だから夏目!
タキさんを誘ってくれ!!

夏目:え?
…タキ?


酣《タケナワ》/宙

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夏目:自分で誘えばいいんじゃないか?

西村:親しくもないおれが誘ってきてくれるわけないだろ!
くやしいけど…夏目ならタキさんと仲いいしさ

夏目:なら別に…田沼でもいいんじゃ

田沼:いや 夏目に誘われた方がタキも嬉しいと思うぞ

夏目:

田沼:ポン太で釣れば絶対確実だ

夏目:それ おれは先生のオマケってことじゃ…

西村:とにかく!お祭りデートの成功はお前にかかってる!
頼んだぞ夏目!!

夏目:というわけで
先生 一緒にタキを誘ってくれよ

ニャンコ先生:ふん
ヤキソバと焼きモロコシ、イカ焼きは外せんな

夏目:うっ …少しは手加減してくれ


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夏目:しかし…みんなで夏祭り、か…
やばいかなりわくわくしてきた

モブA:えー!!
男の子から夏祭りに誘われたぁ!?

モブB:それってもうほぼ告白と同じじゃない!?

モブC:やっぱりそう思う!?

モブA:脈アリなのは間違いがないわね…

夏目モノローグ:そ そうなのか!?

夏目:タキが勘違いすることはないとは思うけど
もしかしたらってことも…
誘い方には気を付けないとな……

ニャンコ先生:……

多軌: ごめんなさい。
その日はもう先約があるの


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西村:何ぃ!? フラれたのか夏目!!

夏目:フラれてはいない

田沼:用事があるっていうんじゃ仕方ないよな

田沼:元気だせよ夏目。まんじゅうをやるから。

夏目:元気がないようにようにみえるのか?もらうが。

西村:しかし先約って一体…

西村:まさか今度こそホントに彼氏!?

夏目:

西村:誰と約束したのか聞いてこなかったのか!?

夏目:い、いやなにも…

西村:断られたショックで動揺しすぎだろ

北本:落ち着け おまえたち

田沼:ほかの友人と行くのかもだろ
おれたちのように

北本:家族や兄妹で約束してる可能性だってある
コイビトとは限らないぞ

西村:うーん まあ…そうか

西村:致し方ない。女子がいないのはひじょ~に残念だが…


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西村:こうなったら全力で祭りを満喫してやるぜ!!

北本:その意気だ西村!

西村:フラれて傷心の夏目も楽しもうな!
チョコバナナくらいなら奢ってやるよ

夏目:いや、フラれてはいない

田沼:拘るなぁ

北本:次は射的行こうぜ!

西村:おうよ!

田沼:元気いっぱいだな西村たちは

夏目:ああ…


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田沼:どうした夏目

夏目:なあ、このお面ちょっと先生に似てないか?
タキがみたら喜びそうだな…って

田沼:土産にしたらどうだ?

夏目:……そうする

夏目モノローグ:贅沢者だな おれは
こんなにもたのしいのに


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夏目モノローグ: 物足りないと思ってしまうなんて

ニャンコ先生:祭りはもうおわりか?食い足りんぞ!

夏目:えー かなり食べてただろ?

ニャンコ先生:あれっぽっちで足りるか!

ニャンコ先生:それにしてもこの祭り
やけに妖ものが多く紛れていて気になったが…
何事もなく終わって肩透かしだな

夏目:えっ… そういうこと言うとまた何か起こるからやめてくれ

ニャンコ先生:……結局タキの気配はしなかったし

夏目:へえ 先生も意外と気にしてたんだ

ニャンコ先生:ハァ!?そもそも夏目、お前が

???:今、「ナツメ」と言ったか!?
名を返してくれ!!


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夏目: ――名を返そう
「サカズキ」

サカズキ:感謝するぞナツメ殿
おかげでまた力が漲ってきた

夏目:おれは…つかれた…

ニャンコ先生:祭りで散々はしゃぎ倒したあとにやることではないからな
アホなのか?

夏目:困ってる妖《やつ》を放っとけないだろ…

夏目:しかし…よかったのかな
人気《ひとけ》なかったとはいえ勝手に神社の境内に入っちゃったけど

サカズキ:心配無用。この社は長年の我が住処だ
好きに使って咎める者は誰もおらんよ

夏目:そりゃ妖なら大丈夫かもしれないが
もしおれが見つかると面倒なことに…

多軌:だれかいるの?


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夏目モノローグ:ほらみろ!

夏目:す、すみませんちょっと道に迷って…

多軌: …夏目くん?

夏目:え タキ!?

夏目&多軌:どうしてここに?

多軌: この神社の神主さんは祖父の旧い友人なのだけれど
今年は少し体調を崩されてしまっていて
お祭りの為の人手が足りずに困っていたからお手伝いをしていたの
……ごめんね 夏目くんがせっかく誘ってくれたのに

多軌: …どうしたの?夏目くん

夏目:いや。今ちょっと不謹慎な自分を反省してるところ。
なるほどそれで…


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夏目:その恰好を?

多軌:なかなかかわいいでしょう?
この服

ニャンコ先生:馬子にも衣装だな

多軌:夏目くんたちは…
なんだかお疲れね

夏目:…まあね

多軌:それじゃあ少しだけ待っていて

夏目&ニャンコ先生:

多軌:おまたせしました

ニャンコ先生:これは…冷やした甘酒か!
気が利くな

多軌:ふふ
今日は境内でこれを参拝客にお配りしてたの
この神社はお酒好きの蛇神様を祀っていてね

多軌:大昔にこの辺りで酒造りをしていた神主さんのご先祖が
弱っていた白蛇に甘酒を飲ませてあげたんですって

多軌:実は白蛇は妖怪でお礼に妖の秘酒を飲ませてくれて
そのお酒を飲むと病や患いが治り長寿になった…という言い伝えが残っているの


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夏目:流石、よく知ってるな

サカズキ:おお、懐かしい話だな

夏目:

サカズキ:なかなか酒の味がわかる人間だったからな
特別に秘蔵の酒を分けてやったのだ

夏目:今の話ってお前のことなのか!?

サカズキ:ふふ、見ものだったな
酒を一口呑んで大騒ぎしたあやつは
蔵から自慢の酒を出してくるとこちらに呑み比べを挑んできたのさ
負けじと一杯また一杯、と呑み交わすうち
いつのまにか周りにはたくさんの妖やヒトが集まって――

サカズキ:…あれは愉快な宴だった

多軌:――素敵。
それがこのお祭りの起源だったんだわ


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多軌:人と妖のお祭り…
きっと賑やかで楽しかったんだろうな

夏目モノローグ:―――タキは祭りには参加できなかったから…

夏目:なあタキ、今度…

ニャンコ先生:おいへび!
その秘蔵の酒とやらぜひ飲ませろ!!

サカズキ:ふむ…そうだな
名を返してもらった上に懐かしい話も思い出せた
ちょうど礼をせねばと思っていたところだ

サカズキ:これはそこの巫女娘のぶん

夏目:白蛇《サカズキ》がタキにくれるって

多軌:え…私にも?


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多軌:冷たくて甘くて・・・美味しい!

夏目:さっきより格段に旨い甘酒だ

サカズキ:どんな疲れも吹き飛ぶだろう?

サカズキ:小娘 弱っているという今代の神主にもあとで少しこの酒を飲ませてやるといい

多軌:え!? 大きな白蛇さんが喋ってる……!

夏目:タキにもみえるのか!?

ニャンコ先生:ふん……これはたしかに秘蔵だな

サカズキ:それは最初《はじまり》の一献
乾杯を以って幕開けとしよう
この宇多夏《うたげ》神社の妖《あやかし》祭りを


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多軌:わあ…!すごい!!

サカズキ:もうすぐ大きな鬼火も空に打ち上がる
それは見事なものだぞ
見晴らしの良い場所で見てくるといい

夏目:…タキ 先生たちはまだ飲み足りないみたいだし

夏目:…行ってみないか?
二人で。

多軌:……うん!


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夏目:あ、そうだ
これ、タキにと思って

多軌:…先生だ!

夏目:似てるだろ?

多軌:ええ!すごく可愛いわ

多軌:ありがとう 夏目くん

夏目モノローグ:タキが笑うたび
胸がふわふわする

なんだかまるで――

多軌:…これって
デートみたいね

夏目:…それなら
手のひとつでも繋がないと


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夏目モノローグ:ああ 顔が熱い

さっき飲んだ甘酒のせいかもしれない


説明:後日

西村:なあ!知ってるか?祭りのときあの神社に…
物凄く可愛い巫女さんがいたんだと!! みたかったー!!

夏目:神主さんの病が全快したからその巫女さんもういないらしいぞ
残念だったな



酣/終


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